
それは
これまでの⼩さな⼼のひだが刻み込まれ
そのひとつひとつがピースとなって
ありのままの姿として結晶し
そして…..
ここに辿り着いた
ー 福森伸が語る、パラドックスの世界 ー

「簡単な言葉で言うと、常識を覆すみたいなことが好きなんです」
鹿児島にある知的障害者支援施設「しょうぶ学園」
園長・福森伸氏。
1973年の設立以来、アートと日常を通じて社会との境界を問い続けるこの場所で起きる、小さくも確かな出来事たち。
インタビューを軸に、園生たちの表現がパズルのピースのように積み重なり、やがてひとつの風景が見え隠れする。

しょうぶ学園の魅力がぎゅっと凝縮された映像で、観た人は、何か始めたくなるんじゃないかと思います。
まだまだやれることがいっぱいあるというより、何もまだ始めていないかもと。
『あなたにとって、それが幸福であるか』
もし、誰かが自分のことを、いちいちこんなふうに真剣に心配してくれたら、それだけで嬉しい、幸せだと思います。
僕もそういう人間になろうと思いました。
ー 高木正勝まわりの誰にもマイナスを負わせない
一途な自分勝手をやめません
笑って 歌って 邪気を払う 怒って 涙して 大切なものだけすくい取る 吐く息も 吸う息も あるがままに 常識を一枚ずつ裏返し 見つけた ひとつしかない形のピース 集まったピースが物語る姿は 枠を飛び越え 拡がり続ける それは 一人じめをしていられない程の大きさなので みんなで観たほうがいいのです
ー 篠原芳子
しょうぶ学園 <SHOBU STYLE>
障がいのあるなしに関わらず、支援を必要とする人、支援を提供する側といった枠を取払い、ものづくりをとおして、人が本質的に備えている創造する力を引き出し、ともに協働する者としてよろこびをわかちあえるコミュニティ。 人と人がささえあい、つながりあい、つくりだすくらし、創造的な福祉事業の可能性に貢献する。

こんな地球上の一点の小さな学園の暮らしの中であっても、緑の茂った小道や池があって、ロバがいて、散歩しながら、できればいっしょに休みながら、励ましあって、意味のわからないもの、思いがけないものに出会う。
日々一つ一つの出来事を見つめながら一生懸命生きている。 地球はまるいのだから、ゆっくり歩いて行っても循環して行き着くところは元に戻る。
そういう生き方もあるように思う。
ー 福森伸

ー ジグソーパズルについての覚書
『ジグソーパズル』『福森伸氏の思想』『石川真綾(しょうぶ学園園生)の歌声』
しょうぶ学園から映像制作の依頼を受け、まず浮かんだのは上の3つのキーワードだった。『ジグソーパズル』
人は、人生を歩むなかで、その時々の感情や無意識の経験を記憶の隅にしまっていく。それを一つ一つのピースに捉えると、様々な事柄と巡り合いながらそれらを少しずつ組み合わせて歩んでいるように思える。
ある時は、目指していた自分になれてないことに気づくような、目覚めを体験をすることがあったり、 または、挫折を味わったり。一方で、思いがけない出会いが新しい道を開いてくれることもある。何かを決断したり、敢えてしなかったり。内容こそは憶えてはいないけれど、思いっきり笑ったり、泣いたり、そして、その記憶だけが残る。
そうした日常的の些細な出来事がひとつひとつのピースとなり、「今」の姿としてジグソーパズルの映像として浮かび上がらせるのかもしれない。『福森伸、パラドックスを語る』
今回、このドキュメンタリーの映像を構成するにあたり、軸としたのは、しょうぶ学園統括施設長福森 伸氏(以降、福森さん)の思想。
彼の内側に迫り、今あるしょうぶ学園のスタイルの根源を探りたい、以前から感じていた。 2011年にしょうぶ学園と出会い。その時の福森さんの第一印象は『最強のあまのじゃく 』
その後も、その印象は変わることなく、新鮮で斬新に視点を投げかける、そんなイメージが続いています。
ー 簡単な言葉で言うと、常識を覆すみたいなことが好きなんです ー
…こうあるはずだけれど、しかし本当はこうだったっていう逆説の場面にした時こうあるはずです。
しかしこの場合こうでうまくいかなかったみたいなパラドックスは実は面白いという見方…
ー 映像内インタビューシーンから
……おおよその彼のインタビュー内容は全てがパラドックスで満ちていた。
構成として、描いていたのは過去の学園の映像をショートカットで繋ぎ、福森さんが語るパラドックスの言葉と絡み合わせていくことで、一つのピースが浮き上がるよう。ここで、説明したり、結論づけたり、明快な答えを出さないよう意識をした。それは、映像を見ている側の解釈でしょうぶ学園を感じてほしいという思いから、静的なピース、会話も少なめに、それぞれをシンプルに編集を重ねて、重ねていきました。『石川真綾ちゃんの歌声』
映像最後のエンディングロールで歌っているのは、しょうぶ学園園生の石川真綾ちゃん(以降、マーヤちゃん)。随分前にマーヤちゃんの歌を聞かせてもらった。その声に魅了され一時期、何度も繰り返し聴いていた。彼女の歌声は単に上手い——という次元を超え、まるでワタシの耳元で囁くように届く。
歌は、シーンの感情を伝えるものではなくしょうぶ学園の雰囲気や環境が伝わるような感覚的な観点から全体のシーンを高めたい、…迷いなく、彼女の歌を始まりとエンディングロールで歌を入れる決めた。マーヤちゃんの声は自然とともにマッチした。
学園の何気ない日常において、現実と内面の両方で起こりうる、小さな出来事がこの場所に新しいピースを生み出していく。
映像はマジックリアリズム的のようでありながら、全てが真実の物語なのです。最後に
2011年、しょうぶ学園の園生や作品、又スタッフたちの出会いは、ありとあらゆる感情を掻き立てられ、今まで味わったことのない「衝撃」を覚えた。その後、しょうぶ学園に通うようになった。理由は、他ならない、「衝撃」その背景を知りたいと思ったからだ。
イワタトシ子
CAST:
インタビュー 福森伸 福森順子
案内人 福森創
出演 しょうぶ学園の皆様 石川真綾(歌) otto & orabu
otto (あいうえお順) 壱岐昌大 鵜木二三子 大倉章 郡山義一 關直継 谷口好史 徳留ひとみ 直木秀子 中田麻美 名智敦子 波江野美希 橋本沙樹 濱島康浩 福森創 福森陽 福山聖悟 溝ノ上正隆. 向井紗旗 室屋全代 吉盛貢世 吉留義博 吉盛世菜 脇黒丸学
orabu (あいうえお順)飯山智史 井上真吾 今村しのぶ 立山留美 中囿知子 西田由加里 濵田美佐子 二俣和之 堀之内梨杏 山下真吾 吉永眞子 吉松絵里加 米森初枝
プロデュース:しょうぶ学園
監督/構成:イワタトシ子
編集:ミユ・バーンズ
編集協力:リチャード・バーンズ 福森創
撮影:グリフィス太田朗子
撮影:三浦知也
撮影協力/記録映像:しょうぶ学園
文字:隅谷端
イラスト:鵜木正
テキスト 高木正勝 篠原芳子
冊子デザイン:ASAHI精版 藤本組
協力 Special thanks:”GOOD NEIGHBORS JAMBOREE 2024” ”WALKINNSTUDIO” 霧島アートの森 株式会社タムロン
助成:清水基金 (2023年度助成)
