時間

竜宮城から戻ってみると、地上では長い年月が経っていた(浦島太郎)
王女は錘が刺さり百年間の眠りについてしまった(眠れる森の美女)
タイムマシンに乗って未来のぼくを見る(ドラえもん)
点であり、
長さでもあり、
すべての出来事を位置付ける枠

「時間」

伸び縮みし(一般性相対性理論)
中断され(聖なる時間は俗なる時間から区別される)
しかし一瞬である(刹那滅)
円環して無限に続く(古代宗教)が、
直線的で有限でもある(キリスト教)
主観的な速さは異なり(ゾウの時間、ネズミの時間)
下天の1日は人間界の50年に当たる(仏教)
未来から過去へ流れ(アビダルマ)
枝分かれをする(多世界解釈)
この場所に、「ある」かもしれない

「時間」

ホメロスを1行読めば、ヘクトルと並んでトロイの城塞を歩いている。フィッツジェラルドの1段落に引き込まれれば、ワタシの「今」はギャッツビーの「今」と絡みあう。ブラッドベリの1953年の本を1冊開けば、エックルズとともに恐竜を狩っている。「物語は、私たちが時の川を進むための唯一の船だ」。たしかにそのとおりだ。世界中の図書館の棚にタイムマシンがあふれている。そのひとつに乗り込み、旅立とう。
―アンソニー・ドーア

「時空の旅」

「Infra / マックス・リヒター」
Spotify
Apple Music
YouTube