時間

竜宮城から戻ってみると、地上では長い年月が経っていた(浦島太郎)
王女は錘が刺さり百年間の眠りについてしまった(眠れる森の美女)
タイムマシンに乗って未来のぼくを見る(ドラえもん)
点であり、
長さでもあり、
すべての出来事を位置付ける枠

「時間」

伸び縮みし(一般性相対性理論)
中断され(聖なる時間は俗なる時間から区別される)
しかし一瞬である(刹那滅)
円環して無限に続く(古代宗教)が、
直線的で有限でもある(キリスト教)
主観的な速さは異なり(ゾウの時間、ネズミの時間)
下天の1日は人間界の50年に当たる(仏教)
未来から過去へ流れ(アビダルマ)
枝分かれをする(多世界解釈)
この場所に、「ある」かもしれない

「時間」

ホメロスを1行読めば、ヘクトルと並んでトロイの城塞を歩いている。フィッツジェラルドの1段落に引き込まれれば、ワタシの「今」はギャッツビーの「今」と絡みあう。ブラッドベリの1953年の本を1冊開けば、エックルズとともに恐竜を狩っている。「物語は、私たちが時の川を進むための唯一の船だ」。たしかにそのとおりだ。世界中の図書館の棚にタイムマシンがあふれている。そのひとつに乗り込み、旅立とう。
―アンソニー・ドーア

「時空の旅」

「Infra / マックス・リヒター」
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旅の旅

pm 6:00 東インドの旅の途中、嵐に巻き込まれリリパットに漂着。その国は小人の国。

pm 7:00 王妃に放尿をするという行為から追放される。

pm 8:00 次に訪れた巨人の国プロプディンナグ国。10メートル以上はある身長の人たち。
pm 9:00 国王に歴史、財政、政治、酒興の質問を受けるが、毒虫扱いされ、また追放される。
pm 10:00 次は、海賊から逃れる経緯で空中未来都市飛鳥ラピュタ国に。
pm 11:00 数学と音楽だけが学問とされる知恵の国、人々は思索ばかりで人の話を聞かない。

am 0:00 ………ここで一息、『星になった少年 〜Shining Boy & Little Randy〜』 の音が流れてる。。。。。

am 1:00 出航。
am 2:00 フウイヌムの国にたどり着く。
am 3:00 ヤフーと呼ばれる野蛮な人の姿をした生物と、この地を統治する馬の国。
am 4:00 合理的で平和的なフウイヌムの国。
am 5:00 帰国後、僕は人間と会わずに何頭かの馬と生活。
am 6:00 そして、静かに朝を迎える。

日が沈む夜に一冊の本を開ける。
日が昇る朝に想像の旅は終了。

旅の旅。

ー ガリバー旅行記 ー
嵐で船が難破し、身長15cmの人々が暮らす小人の国にたどり着いたガリバー。 「人間山」と呼ばれ歓迎されるも、やがて卵の殻のむき方を発端とする隣国との戦争や、宮廷内の派閥争いに巻き込まれていく。ガリバーのさまざまな冒険と旅の物語。

  • Laputa(ラピュタ):Balnibarbi(バルニバービ)の上空を飛行する島。人々は数学と音楽にしか興味がない。
  • Balnibarbi(バルニバービ):ラピュタの下にある島で、人々は貧しくみすぼらしい生活をしていた。しかし非常に賢い人々で、地球の未来の問題を解決するアイディアを持っていた。
  • Luggnagg(ラグナグ):不老不死がいる島。
  • Glubbdubdrib(グラブダブドリッブ):マジシャンの島。人々は幽霊を召使いにしている。ガリバーは歴史的偉人の幽霊を呼んでもらい会話をした。

「 星になった少年 オープニングタイトル 」
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内なるラジオ

さっきまで広場では花火が上がっていた。今日は特別な夜だから、誰もが浮き足立っている。部屋の中にいても、外の騒ぎ声はよく聞こえた。
わたしもいつもと少し違っていたのかもしれない。普段はつけることのないラジオのスイッチをいれたから。

  “ハッピーニューイヤー、おめでとう”

カップに触れた手が止まる。ラジオからは、聞こえてくるはずのない、抑揚のあるあの低い声が流れてきた。

  “久しぶりです、お元気ですか?”

  “あなたのことをよく思い出しますよ”

声は話を続けた。
旅先での出来事や観た映画、部屋に置いてあるお気に入りの椅子。それぞれの微笑ましいエピソード。
どれもが鮮やかに浮かび上がる。
その切り取られた時間の片隅には、いつだってわたしも居た。

棚に並ぶ本やレコードは、ずっと触れていなかった。毎日素通りされ、どこへも進めず、そこでじっと立ち尽くしている。

  “そう、次はあの曲をかけますね”

部屋でよくかけていたあの曲が流れてくる。
なにかあると、そのレコードを取り出し甘いシードルを開け、それを一気に飲み干していた。わたしはその曲も甘ったるいシードルもそんなに好きではなかったけれど、そのささやかなパーティーにいつも黙って付き合った。そんな一方通行の共有だって悪くはなかった。

声はほんの少し改まったようなトーンで言った。

  “それではリスナーからのコーナーです、メッセージをどうぞ”

そしてそれきり何も言わない。

外の喧騒はいつの間にかなくなっていた。灯りも減って、いつもの夜に戻ったようだった。急に静けさに包まれた部屋で、埋める言葉をわたしは探した。けれど、棚のレコードも本もそこにあるだけで、どこにも言葉は見つからない。音ひとつ立てられず、ただ止まった時間だけが過ぎていく。

やがてラジオは短く”プツ”と、途切れる音を返した。

by Sophia Clarus

back and forth

photo: shu

なぜ旅に出たいのか、それは自分でもわからない。要するに、どこかに行って、こういうことをしたいとか、こういう事をやりたいという場合、プランニングするのではなく自然に湧いてきてしまう。
始まりはいつもそんな感じなのだ。

旅の条件として、目的の国、場所は閃いたところへ。
宿泊は最初の1泊は確保。そして、地図は忘れず必需品。
宿の条件はシャワー付きのお湯が出ればまず大丈夫。
エレベーターがあることは絶対必須。
1泊目の宿がよければそのまま連泊となる。

さて、旅のプランニングは何となくだけれど、イメージは或る。
先ずは、いざ出発。

現時代のようにパソコンで宿を調べることができない。
この町にもう少し居たいと思ったとしても、ここを出なくてはいけない。
又、この町から早く出たいと思ったとしても、この町に居ることになる。理由は明確ではないけれど、テンションは上がらない。
そんな気持ちを抱えながら嬉しい出会いのないことの想像はできる。そんな経験から、フリースタイルの旅に落ち着いてしまった。
目的地に到着したら、空港の電話ボックスへ先ず向かう。
電話帳から宿らしきページを破りポケットに。ついでにライブハウス、中古レコード屋の情報もポケットに。
予約した宿の夜は、あらかじめ用意した地図と、ポケットに忍ばせた宿泊情報をテーブルに並べる。それを赤ペンで気になるだろう箇所をチェックしていく。それも楽しい時間。
わからない街だからこそワクワクしてしまうのだ。

− 境界 –

境界

あの道まっすぐ、その先右に曲がると何があるのだろう。

きっと、何かが現れる。
歩く景色に、窓やドアが真っ先に目に映る。
道のこちら側とあちら側。
あの人とこの人の繋いでいるモノはなんだろう。
真夜から続く朝になる瞬間。
地平線と水平線の境。
或いは、赤道に位置する国のことについてまで。


…気がついたら空想の世界に入っている。
思うと、その癖は随分と前から始まっていた。


気になる場所を見つけてしまうと、ソコから離れられなくなる。
気になった人に遭遇する。2度見、3度見…ずっと目はその人を追っていた。
気になるそのコトについては、調べずにはいられない。


そんな謎な別世界に頭の中は支配され、振り回されていたのだけれどそんな時間も、今となってはソレを随分と楽しめるようになった。

あちら側の空想に、こちら側のリアル。
気がつくと………いつも行ったり来たり。