もう一つの不思議の国のアリス:序章

いつからだろう
深い眠りの途中に目が覚めてしまう

午前『 0:00 』

決まってこの時間
心に抗い、瞼が落ちる
ここではない
もう一つの夜の淵に吸い込まれていく

窓から映る空に、月が二つ

     

もう一つの世界


人は誰しも
もう一つの世界を持っている。


時間と共に歩んでいく目にわかる現実世界と、
もう一つの非現実と言われる想像の世界。
例えば、
夢という夜の旅は、
現実にいる場所から遥か遠くに
連れていかれる事があります。
一つの意識から別の意識へ、
距離や時間を超えた
別の新しい物語として現れるのです。
また、現実に求められることからの
意図的に目を逸らすための行為や、
気持ちを逸らすための
逃避世界もまた、その域にあるのかもしれません。


理想とされる現実と向き合う事に、
どうしても拭えない気持ちを持ち合わせた表現者は、
思い巡らせて内側に渦巻いてる言葉が、
作品として生まれてくることもあるのではないかと
思うことがあります。


日常的に交わす言葉や行動の背後で、
想像や空想は、心の中、または頭の中で、
どこか凛と存在しているように思います。
– 同床異夢 - という言葉が示すように、
同じ場所にいて、同じ仲間であったとしても、
心にある想いはそれぞれだったりもします。


– もう一つの世界 –


現実にあり得ない事や現実とは
何ら関係のない事によって創られているその世界、
その内側に潜む神秘と秘密を、
今回の展覧会では『もう一つの不思議の国のアリス』
と題して表現したものです。



イワタトシ子

もう一つの
不思議の国の
アリス

第一章:目覚めたら、言語のない場所にいた

第二章:奇妙なるお茶会

第三章:不思議な植物「12」